手術のための入院〜検査の日々と中国医療のリアル
前回のあらすじ
2018年12月、舌がんの確定診断を受けてから約1か月後。手術を受けるため、義父と共に地元から北京に向かいます。しかし、手術日が2週間経過しても決まらず、天津にあるB医院へ転院・入院することになりました。
今回は、なぜこの病院に転院したのか、そして入院生活や手術前の検査の様子、さらには日本との違いを含めて当時の様子を振り返ってみたいと思います。
前回の内容は、確定診断から転院までの経緯(2018年11月〜12月)です。
天津と病院の印象
天津は北京から新幹線で1時間程度のこちらも大都会。日本で言うと横浜みたいな感じですかね。北京より空気が綺麗という印象は強かったです。ただ、北京の時と違い今回はすぐに入院となったため、天津の街を回る時間は非常に限られていました。そのため、治療だけのために来たという土地になってしまいました。
入院した医院は、中国でも屈指の実績のある医院でした。中国にも病院ランキングがあり、こちらの医院は上位にランキングされていました。なお、当初手術受けようと思っていた地元の医院はランキング外でした。
そんなB医院ですが、私の第一印象としては「歴史のありそうな病院だなぁ」というもの。口腔専門のため規模も総合病院のA医院よりもかなり小さいものでしたが、義父を信じてこちらにお世話になることに。手続き等済ませ、病室に入りました。
入院生活について
病室は義父との2人部屋。大きさとしては8畳ぐらいでシングルベッドが2台と貴重品が入れられる鍵付きの机が一つ。テレビは無かったです。暖房はあったので部屋が寒いとかは無く快適に過ごせました。洗面所、トイレは共同。狭く、暗いとは思いましたが、気になる匂い等は無く清潔でした。
日本では入院する時に必ずしも付き添いの人は不要で、看護師さんほかケアスタッフできめ細やかに対応いただけます。しかし、こちら中国では違い、医療行為以外は全て自分もしくは付き添いの人が実施をする必要があります。例えば定例の採血も病室に看護師さんが来るのでは無く、ナースステーションに自分が行って採血をしてもらったり、食事は病室に運ばれてくるのでは無く、廊下に受け取りに行ったりなどです。清拭も医療行為では無いので自分たちで行います。
私は当初中国での入院がこのような状況とは知りませんでした。そのため、義父や家族に迷惑をかけることをためらい自分一人で対応しようと考えていました。しかし、義父が付いてきてくれて本当に助かりました(特に術後の食事など)。
また、北京のA医院もそうですが、今回のB医院についても義父の紹介です。どのような経緯でそのようなコネクションが出来上がっているのか結局わからずじまいではありましたが、B医院では入院当初に手術日が確定していました。北京・天津に縁もゆかりも無い私なので、全て義父任せとなっていました。かつて私が医療関連企業に勤めていたこともあり、日本の医療事情等については理解していました。しかし、中国に関しては全くわからないため義父の強力なサポートは非常にありがたかったです。
囚⚪︎のような入院着
手術前検査の日々:CTが撮れない!?
術前検査としては採血、CTでした。ただ、CTがB医院に無いということで別の医療施設に行くことになりました。検査自体は滞りなく終了しました。なお、修理中なのかどうかわかりませんでしたが、中国屈指の口腔医院で必要な検査ができないというのは結構衝撃でした。
別日で術前の同意書について説明がありました。ドクターが同意書を見せながら口頭で説明されました。私は中国語レベルとしてはおそらくHSK5級程度だったと思います。そのため、義父との会話や医療関係者の話も完全に聞き取りはできませんし、自分の意思を思い通りに伝えることもできません。しかし、日本人であり、かつて医療関係の仕事に就いていたこともあり同意書に記載されている文章についてはほぼ理解できました。簡単に言うと手術にはリスクが伴いますよという内容です。
ここでもあまり心配することもなく、内容を読んだ後にサインをしました。どんな手術でもリスクがあり、自分で回避できるものでは無いという意識もあったんだと思います。
日本との違いに驚いた点あれこれ
すでに記載している部分もありますが、日本と中国での医療の違いについて記載しておきます。
- 採血、血圧測定:看護師が病室に来てくれるのではなく、決められた時間に自分でナースステーションへ行く
- 食事:配膳はなく、自分で取りに行く方式(食器類は自分で用意)
- 看護師の役割:医療行為に限定されており、生活ケアはなし(そのため、入院時には家族の付き添いが必須。同じ病室に入ることができなければ病院近くの宿泊施設で寝泊まりがデフォルト。日本の医療関係者の皆様には本当に感謝です。)
- 医療費支払いシステム:自費で全額払い。私の場合は、会社の保険があったため後日保険金を請求にて最終的に持ち出しは無し。(請求書等を紛失してしまっているので、今回どれぐらい金額がかかったか覚えてません。ただ、アメリカのように超高額というものではありませんでした。)
手術前夜の心境
各種検査も終わり、耳の周りにある頭髪はバリカンで切り落とし手術が前日に迫っていました。人生初めての入院、そして手術。それが異国の地というものでしたが、特に怖さ、不安は無かったですね。やはり、この時でも痛みや体の状態に変化があったわけでも無く至って健康体だったからなんだと思います。気持ち的には「悪いところは早めに取ってもらうしかないよね」というものでした。
次回予告
「舌がん手術当日とその後」
手術当日の流れ、麻酔・術後の痛みや違和感、病室で目覚めた時の気持ちなどを次回は書いていきます。
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